こんにちは、japan-guide.com事業部の追川です。

本日は弊社が制作に携わっているSakeをテーマにしたポッドキャスト『Sake on Air』(以下、SOA)の最新エピソード「#34: Know Your Hosts: Marie Nagata & Justin Potts」の解説をお届けします。

今回のエピソードは、前半はJohn GauntnerさんMarie Nagataさんを、後半はSebastien LemoineさんJustin Pottsさんをインタビューする形式です。

MarieさんとJustinさんの酒との関わり方、パーソナルヒストリーが語られます。

プロデューサーは弊社のFrank Walterです。

 

【今回のエピソードのキーワード】

  • turnaround: 方向転換、ターニングポイント、(変化の)きっかけ。
  • demure: 控えめな、おとなしい、上品な。
  • versatility: 汎用性。さまざまなものへの柔軟性
  • low profile: 目立たない、控えめな。
  • time-regimented: regimentedは厳しい、厳格なという意味。time-regimentedの場合は、時間に厳しいという意味になる。
  • off-limits: 立ち入り禁止、入ることができないこと。

 

【Marie Nagataさんへのインタビュー:酒との出会い~NZの酒造での経験】02:04~

Marieさんも今までインタビューを受けてきた他のホストたちと同様に、当初は酒に対してネガティブなイメージを持っていたと言います。そのイメージとは、やはり酒は年配の男性が飲むものというイメージだったそうです。そんなMarieさんが酒に関わることになるきっかけを作ったのが、彼女の同僚であり、友人でもあったあるフランス人女性でした。彼女に誘われてJohnさんが講師を務める日本酒のコースを受講し、日本酒の奥深さを知ると同時に、新しい友人もたくさんできました。

その友人のうちの一人がニュージーランドのクイーンズランドで酒造りを行っていたDavid Jollさんでした。その頃仕事で疲労の溜まる日々を日本で過ごしていたMarieさんは、仕事を辞めてDavidさんの酒造であるZENKUROで働くためにニュージーランドへ渡りました。

 

【帰国後~現在のビジネス】11:44~

ニュージーランドで1年間を過ごしてから日本に帰国したMarieさんはまた会社勤めを始めましたが、同時に現在、友人と低糖質パン開発に関わるビジネス構想を実行に移そうと動いています。なぜ低糖質パンなのか?それは、日本酒を飲んでいると、知らないうちに日本酒に含まれる多くの炭水化物を摂取することになってしまうと気づいたからです。日本酒を我慢しなくてもいいように、パンを低糖質のものにしてバランスを保とうという訳です。

 

【酒業界の今後の方向性・お気に入りの酒】15:10~

Sustainability(持続可能性)という言葉が頻繁に使われるようになって久しいですが、Marieさんは酒業界でもこの考え方が今後ますます重要視されていくと考えています。酒造だけではなく、酒に関わる全てのステークホルダーが利益を享受できるような環境作りが進んでいくと考えており、過去に起きたような自然環境と酒の関係性を見直した動きと被る部分があると言います。

Johnさんにお気に入りの酒を聞かれたMarieさんは、純米酒がお気に入りだと答えています。アロマなどの主張が強いお酒よりは、控えめでさまざまな料理に合わせやすいお酒の方がversatility(汎用性、使い勝手の良さ)があって好みだそうです。

 

【もろみの発酵過程の重要性】19:16~

「日本国内やニュージーランドでの経験を経て、酒造りのプロセスで最も重要だと思うステップは何か?」というJohnさんの質問に対し、Marieさんはもろみの発酵過程であると答えています。「酒造りのプロセスに同じものは存在しない(There are no two brewing processes the same)(21:09)」ため、特にデリケートなもろみの発酵過程では常にだれかが見守る必要があり、その様はまるで赤ちゃんの面倒を見るようなものだと言います。

 

【酒の味の決め手となるステップ/酒に関わる人々へのメッセージ】22:49~

Marieさんは酒の味に最も大きな影響を与えるステップは搾りだと考えています。ニュージーランドの酒造では、自分たちで川から運んできた石と金属のボックスを使用して、しずく搾り(dip press)、もしくは槽搾り(pressure press)でこの作業を行っていたそうです。この作業がこの酒造が造る酒の味を差別化する決め手となっていたとMarieさんは言います。

最後に酒に関わる人々へのメッセージを求められたMarieさんは、「酒に詳しくなればなるほど、難しい専門用語や考えが頭の中を支配するようになります。しかし最も大事なことは、それらにとらわれずに新たなチャレンジを始めることです」というメッセージを残しています。

 

【Justin Pottsさんへのインタビュー:来日~麹との出会い】28:25~

Justinさんは日本在住歴約15年で、これまでさまざまな分野の異なる仕事を経験してきました。しかし、この仕事の変遷の裏には特に計画などは無く、その時その時にやりたいことをやって来たと言います。そしてたどり着いた仕事が、Umariという会社でした。Umariは日本各地で地方創生プロジェクトを主に行っている会社で、ある時、Justinさんはそこでみりん、しょうゆ、味噌などを作っている人々とミーティングする機会を持ちました。Justinさんはそれらの製造過程で用いられる「麹」と、それが重要な役割を果たす日本酒造りに興味を持ちました。自身の食生活にも麹を使用した食品を多く取り入れ、以前よりも体調が良くなったと感じています。

また日本の未来は地方にあると考えており、日本の地方ならではの食事などを含めたライフスタイルを海外に伝える仕事を行っています。

日本酒に関しては、特に燗酒に将来の大きな可能性を感じています。なぜなら、酒は温めることによって味が大きく変化し、それによってまだまだ新たな発見に出会うことが可能だからです。

 

【木戸泉酒造での経験】48:27~

Justinさんは以前、千葉県の自宅からすぐ近くにある木戸泉酒造で働いていた経験があり、今でも手伝いで酒造りに参加することがあるようです。木戸泉酒造は人力で多くの作業工程をこなしており、必要とする労力も自然と大きくなっています。しかしJustinさんにとってもっともタフだったのは、数か月間にわたって外の世界とはまったく違う世界の中に閉じこもって、朝5:30から夕方5:30まで働くことだったそうです。そんな大変な日々を乗り越えさせてくれるのは、米を磨いているときなどにふと感じる楽しさだと言います。そのような瞬間が必ずしも毎日訪れるわけではありませんが、時々感じられるそういった小さなうれしさがJustinさんにとってのモチベーションになったそうです。

前述のように今も酒造りに参加しているJustinさんですが、今後の目標は酒造りも続けつつ、異なる環境に置かれたさまざまな人々が、それぞれの酒を造ることができるビジネス環境を整えることで、日本に貢献していくことだそうです。

 

【Potts.K Productionsの立ち上げ】55:31~

Justinさんは現在、Potts.K Productionsという会社を運営しています。「K」は「家」にかけたもので、この会社がPotts家のファミリービジネスであることを意味しています。この会社では子連れの家族でも楽しめるPop-upバーやレストランを経営しており、子供たちへの食育を大きなテーマに掲げています。実はこのビジネス立ち上げの裏には、Justinさんの過去の体験がありました。

Justinさんの長女が生まれたころ、Justinさんは下北沢に住んでおり、地元のバーやレストランにも頻繁に足を運んで良い関係を築いていました。しかし赤ちゃんが生まれた後、家族でそれらのお店に入店を断られてしまうという事態が起きるようになりました。ファミレスのような大量生産を前提に作られた食べ物よりも、もっとこだわりを持って健康を意識して作られたいろんな食べ物を食べさせることが食育だと考えていたJustinさん。この経験は彼にとって残念なものでしたが、これが彼に現在のビジネスの立ち上げを決意させました。

 

【編集後記】

お二人のお話を聞きながら、思い立ったらすぐに行動に移す行動力とスピード感がすごいなと感じました。

またそれらを支えているのは、自分が興味を持ったことに真っすぐに向き合う姿勢があることに気づきます。

自分の過去、現在、未来について情熱的に語るお二人のお話を聞いていると、近代化によって世の中のスピードが以前よりも早くなった今、このような姿勢が法人にも個人にも求められていることに気づかされます。

SOAは酒をテーマに、さまざまな人々にスポットライトを当てて、いろいろなお話を引き出すことを一つの目的としています。今後も、視聴者の方々に何かしらの気づきやインスピレーションを与えられるような番組を制作・発信していく所存です。

 

【SOAについて】

SOAは日本酒造組合中央会(JSS)さんの後援を受け、日本在住アメリカ人のJustin PottsさんをはじめとしたSakeに情熱を燃やす外国人たちが毎回入れ替わりでホストを務め、2週間に1回のペースで新たなエピソードを公開しているポッドキャスト番組です。EXJは公式ウェブサイトの制作を手掛けたほか、毎エピソードの制作に携わっています。