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〈観光庁多言語事業〉出雲大社様にアンケートご協力を頂きました。

ローカライゼーション
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S. Sato

観光庁では、訪日外国人旅行者の滞在満足度向上を目的に、
2018年度より「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」に取り組んでいます。

弊社は本事業に参画して5年目を迎え(2022年度時点)、英語のネイティブライターと地域を取材し、外国人目線を取り入れた解説文を作成しています。
外国人旅行者にとって分かりやすく、地域の観光ストーリーを伝える魅力的な解説文を整備しています。

今回、本事業を通して、2021年度に英語解説文を作成された、
出雲大社様にアンケートのご協力をいただきました。


① 出雲大社の魅力を教えてください。

出雲大社の御祭神である大國主大神は、「因幡の白兎」の話で悪戯をしたために大怪我を負わされた兎を救われたように、慈愛に満ち、また慎ましく心穏やかな神様です。その御心はとても広く、御自身が大変苦労して成長させた国土(葦原中国/豊葦原瑞穂国)を皇孫(天孫)へお譲りになり、御自身は幽世(幽冥)といって目に見えない世界(神々の世界)を掌られるようになりました。これを国譲り(くにゆずり)と言い、大國主大神の御決断への感謝及び返礼として、大神をお祀りする壮大な宮殿として造営されたのが出雲大社です。

御本殿は古代には高さ32丈(約96m)、中世でも16丈(約48m)を誇り、平安時代の書物には当時国中で最も大きな建造物として「雲太」と称されたほか、古文書にも「天下無双之大厦」と称えられる高大な神殿であったことが窺えます。現在の御本殿は江戸時代中期の延享元年(1744)に造営され、高さは8丈(約24m)と減じてはいますが、その広さ(面積)は方6間(約11m)四囲と中世の御本殿と等しい規模を維持しています。

御本殿の建築は「大社造」と称されて、数多くある神社建築でも伊勢神宮の唯一神明造と並ぶ最古の様式を伝えており、建物は中央の心御柱(岩根御柱)を中心に四部屋に区画されるほか、建物正面を南向きとするのに対し御神座(御祭神の座)は西面するなど独特の様式を備え、また御扉が建物正面中央ではなく東側(右側)に偏って配置されるなど他の神社建築には見られない独特な様式を備えている。

② 出雲大社は、普段どのような業務(活動)を行っていますか?

社務は多岐にわたりますが、毎日おこなわれていることは以下の通りです。


(1) 神拝及び御本殿ほか御社殿の清掃
(2) 御本殿での朝夕の御日供祭奉仕(御祭神にお食事を奉る祭事)
   ※ これは当番の神職が交代で奉仕します。
(3) 御祈祷
  (拝殿及び神楽殿では、毎日ご参拝の方々のお願事を大國主大神へ取次ぎをする御祈祷が奉仕されています。)
(4) 御守・御札の授与
(5) その他
  (上記のほか、取材対応や外部からの問い合わせへの対応なども各担当部署があります。)

③ これまで、多言語解説文はどのように作成されてきましたか?

行政機関(県庁・観光協会)などに相談し、翻訳を依頼し作成した。
但し、摂社・末社といわれる(境内所管社)の解説文はQRコードを読み込み、そこから各言語(英・中・韓)の解説文を表示する方式とした。

④ 今回作成した英語解説文は、どこで見ることができますか?

媒体先である看板、パンフレット、Webサイトに、現在、掲載の準備・検討中。

⑤ 本事業で作成した英語解説文のご感想をお聞かせください。

非常に分かりやすい。日本神話や神道について知っている方、知らない方にも十分に大國主大神とそれにまつわる神話、
出雲大社の歴史及び祭祀について幅広く体系的な内容になっていると感じた。

⑥ 今後も、ネイティブ目線を取り入れた多言語解説文を作りたいと思いますか?

あまり多くの外国語解説文を設置することは、神社という伝統的空間の雰囲気にそぐわないとの意見もあるため、
判断は慎重にならざるを得ない。

⑦ 最後に、印象に残った点・ご感想がありましたら、どんなことでも結構ですのでお聞かせください。

(1)解説文作成を担当された2人が一定期間日本に暮らし、
  日本語や日本の歴史・文化について十分理解があったおかげでとても進めやすかった。


(2)出来上った解説文を読んで、外国の方でも日本人でも今回のような観光地解説において求められる、
  あるいは必要とされる情報・知識にはそれほど大きな違いはないのだと感じた。


(3)今回、出雲大社単独で事業をおこなっていただいたが、島根県、特に旧出雲国にあたる東部地域には
 『出雲国風土記』に記される独自の神話・伝承が数多く遺されている。
  神在祭も出雲大社だけでなく、旧出雲国内に鎮座する神社数社で営まれており、今後も事業が継続されるようであれば
  島根県や出雲市などの各自治体と連携・協力した網羅的なものを試みることが出来れば、より効果的なのではないか。


出雲大社様、アンケートにご協力いただき、誠にありがとうございました。

まとめ

活用した補助金:

地域観光資源の多言語解説整備支援事業
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/multilingual-kaisetsu.html

出雲大社 公式webサイト

https://izumooyashiro.or.jp/