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ベトナムのインターネット事情

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NguyenA.

概要

ベトナムのインターネット事情は日本とはかなり異なります。今回の記事では、ベトナム市場にアプローチする際、企業が考慮すべき基本的な情報についてご紹介したいと思います。

基本データ:若年ユーザー・スマートフォン中心

・年齢構成が日本と異なるベトナムでは、特に若い層のインターネット・ユーザーが急増しています。前年比は6.6%増となっており、インターネットにアクセスしているユーザーはベトナムの人口の79.1%を示しています(1)。
・ユーザーの94.5%がスマートフォンからインターネットにアクセスしており、モバイル指向であることがわかります。

ベトナムのインターネット事情に関する情報を示すイングラフィック
検索エンジンの好み:Googleが寡占だが、現地エンジンも

日本と同様、ベトナムのユーザーの大半はGoogleを検索エンジンとして利用しています。

・ChromeとSafariは、どちらもGoogleをデフォルトの検索エンジンとしていますが、ベトナムの同ブラウザの使用率が圧倒的に高いことから、Googleの地位はさらに強固なものとなっています。
・ベトナムで開発された検索エンジンCocCocは、Googleに代わる検索エンジンとして人気が上昇中です。ローカライズされた機能を搭載し、ベトナム人ユーザー特有のニーズや嗜好に対応しています。現在、この検索エンジンは市場シェアの約3%を占め、第2位につけています。

コミュニケーション方法:メッセージアプリの企業利用。独自のシェア持つZalo

・Facebookのメッセンジャーは、5,265万人のユーザーを持っており、ベトナムの定番コミュニケーション・ツールです。テキスト、音声、ビデオチャットを通じて、個人的なコミュニケーションやビジネスコミュニケーションのための多目的な無料プラットフォームを提供しています。
・その他、Zaloは、LINEとメッセンジャーを組み合わせたようなベトナムのメッセージングアプリで、チャット、通話、ビデオ通話、写真やその他の情報をアップロードして近況を共有することができます。ユーザーフレンドリーなインターフェースと、公共料金の支払い、QRコードによる支払い、旧暦カレンダーなどのローカル機能が広く受け入れられています。インターネットユーザーの約87%をカバーし(2)、ベトナムで最も利用されているメッセージングアプリとなりました。

これらのアプリはいずれも、企業が顧客からの問い合わせに対応するために広く利用されています。

SNSの利用:利用時間は日本の3倍。ショート動画の躍進

ベトナムでは、特に若い世代を中心にソーシャルメディアの利用が広がっています。
・ベトナム人の1日の平均SNS利用時間は2時間32分で、日本の3倍。従って、市場はより活発であると結論づけることができます。
・上位のSNSプラットフォームは以下の通り:

ベトナム人が最も利用しているSNSランキング

フェイスブック(91.6%)
ティックトック(77.5%)
インスタグラム(55.4%)
 リンクトイン(13.2%)

SNSは、ニュースや親戚の近況を知るため、買いたいものややりたいことを探すためなど、さまざまな目的で利用されています。

ベトナム人におけるSNS利用目的の分析グラフ

最近、新しいショートビデオのトレンドがベトナムのインターネットユーザーの行動に大きな影響を与えています。以前は、情報を得るにはGoogle検索やYoutube動画が主流でした。
現在、ベトナムの若者にとって、新たな情報のリソースはショートビデオです。

去年10月にベトナムに帰国した際、友人たちと旅行に出かけました。
その際、道案内にグーグルマップを使う代わりに、Tiktokのショートビデオを使っていたのには驚きました。
参考にした動画のリンクはこちらです。

利用理由は、その地域のGPSが良くなかったので、具体的な案内のある短いビデオの方が分かりやすかったからです。最近、日本の多くの店が同じようなことを始めているのを見ましたが、観光地ではまだ浸透していないようです。
また、私たちは屋台やアトラクションのスポットを選びましたが、私の友人もTiktokをチェックし、レビューが良いことを確認しています。

上記は、短い動画がベトナムのインターネットユーザーにどのような影響を与えたかの1つの例です。近年、ショートビデオのプラットフォーム、特にTiktokは大きな成長を遂げています。

インターネット・セキュリティ:ベトナム内のサイバーセキュリティ対策

ベトナムのインターネット・セキュリティ対策は、サイバーセキュリティ問題に対する意識の高まりとともに進化しています。予防措置は取られているものの、日本と比較すると、ベトナムのインターネット・セキュリティ対策のレベルはそれほど厳密ではないと考えられます。

2023年4月、政府は個人データに関する規制の強化に踏み切り、「個人データの保護に関する政令」を公布しました。同政令は、データ処理における組織と個人の要件を義務付け、明確な同意なしに個人データを販売することを禁止しています。同政令は、適法性、透明性、目的の限定、データの機密性といった原則を強調しています(3)。

ルールの運用は厳密でないものの、ベトナムで、ECなど多くの個人情報を保有するビジネスを展開する場合は、これらをチェックしておく必要があるでしょう。

結論

ベトナムと日本のインターネットユーザーのデジタル習慣は、文化的な好みや技術的な状況によって形成されたオンライン行動というユニークな力学を持っています。検索エンジンの選択からコミュニケーションプラットフォームに至るまで、これらの洞察はデジタル体験の幅広い理解につながり、ベトナム市場にアプローチする際のおおまかな指針となるでしょう。

参考リスト

(1) Simon Kemp. ”DIGITAL 2023: VIETNAM”. Datareportal. 2023/02/01.
https://datareportal.com/reports/digital-2023-vietnam, (参考日:2024/01/12)

(2) Phong Do. “Zalo remains Vietnam’s #1 messaging app in 2022”. Decision Lab. 
https://www.decisionlab.co/blog/zalo-remains-vietnams-1-messaging-app-in-2022, (参考日:2024/01/12)

(3) ”Legal Alert on Decree 13 on Personal Data Protection”. KPMG.
https://kpmg.com/vn/en/home/insights/2023/04/legal-alert-on-decree-13.html, (参考日:2024/01/12)