お問い合わせ
image

【エクスポート・ジャパンの映画ファン発】2025年上半期映画 おすすめしたいベスト10

EXJカルチャー
profile

M. Yoshihara

弊社エクスポート・ジャパンは映画ファンが多いですが、今回はWebソリューション事業部の松岡に2025年上半期映画のおすすめについて聞いてみました!

松岡が2025年の上半期に映画館で見た映画は28本。最低でも週に1本以上ということになりますね。自宅でも映画館でも映画鑑賞を楽しみますが、映画館に行けば高頻度でパンフレットを購入、知識と考察を深め、帰途につくそうです。ちなみに、普段の業務では大規模サイトの統括業務を主に担当しています。

さて、そんな松岡におすすめを聞いてみたところ、返す刀でベスト10が返ってきました。このスピード感に驚くと「毎回映画を見たあとに今年の映画の順位を決めている」とのことでもう一度驚きをいただきました。

それでは、松岡による2025年上半期映画のおすすめTOP10をお届けします。

重要なネタバレはありませんが、映画の概要をお伝えするためにそれなりに内容を書いておりますのでその点ご留意ください。

2025年上半期映画 おすすめTOP10

1位. 『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』

芸人・ジャルジャルの福徳さんの小説が原作の日本映画。今話題の河合優実さんが出演している映画で、彼女ももちろんのことよかったですし、若手の伊東蒼(いとう・あおい)さんもすごかったです。

監督は大九明子という女性の方で『勝手にふるえてろ』等代表作があるのですが、大九監督の映画を見るのは初でした(ドラマは見たことありました)。男性が書いたものはどうしても男性目線になるものですが、原作で女性から見た際に気になるであろう箇所とのバランスを上手くとっており、監督の力をすごく感じる映画で、もう、びっくりするくらいよかったです。

ここ数年の中でもよかった映画の第1位に挙げられるほどです。監督の演出の仕方として、映画にありがちな状況説明がなく、こちら側で想像しなくてはいけないところも素晴らしく、映画そのものに驚きがありました。2回見たらまた違うだろうなと思います。映画の中でびっくりしたところについて話したいところではありますが、残念ながらネタバレになるのでこれ以上話せないです。

▶『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』公式サイト

2位. 『We Live in Time この時を生きて』

フローレンス・ピューとアンドリュー・ガーフィールド主演の映画。結婚し子どもを授かるが、妻が大病を患っていることがわかり・・・。

難病が関わる話なので悲しさは当然あるものの、映画の見せ場は悲しみのシーンではなく、いわゆるお涙頂戴ものの映画ではありません。今生きている自分、生き方や生活を見つめ直し人生に対して主体的になれるような作品で、制作側のポジティブなメッセージを感じられました。フローレンス・ピューは、この作品で本当に頭を丸刈りしました。

映画の特徴としては、二人が知り合って・・・と時系列で物語が経過するのではなく、今、昔、と時間軸を行ったり来たりして物語が進みます。順序を追っていないからこそ出来事を客観的に捉えられ、胸に迫るものがありました。この描き方によって『メッセージ』(2017年公開)という映画を観た時と近い感覚を得ました。『メッセージ』は異星人とのコンタクトを描いたSF映画で、登場する異星人は時間の感覚というものを持っていないので、今の時点で誰かと出会い、そして亡くなることまでわかるのです。でも、誰かが亡くなるのならば人生を共にしない、という選択にはならないですよね。

人には生まれてから色々な瞬間があって、それがどんなに短かったとしても生きた証として自分にも家族にも刻まれているというのかな。生きることに前向きになるような、悲しい側面もありつつも明るくポジティブな気持ちになれるような映画でした。

▶『We Live in Time この時を生きて』公式サイト

3位. 『ブラー TO THE END』

イギリスのバンド「ブラー(Blur)」のドキュメンタリー映画。ブラーはデビューから30年以上経過していますが、国内外ともに今もなお人気が高い伝説的なバンドです。

ブラーの活動休止前の最後の2023年のライブツアーを追った映画なのですが、ライブだけではなくその期間中の彼らの日常生活も映しており、ありのままの姿を観ることができます。音楽はもちろんメンバーの気取っていないところが元々好きでしたが、いまだに気取っていなくて、蜂蜜を作ったり農作物を育てたり、ごく「普通の生活」を送っていてうれしくて感動しました。本当はすごい人たちなのですが、日常生活を見ると距離感をそんなに感じないのです。

メンバーは皆カリスマ性を求めず、エゴもなく、純粋にやりたい様に音楽活動を楽しんでいて(飽きたら距離を置いたり)理想的だと感じました。

▶『ブラー TO THE END』公式サイト

4位. 『サブスタンス』

これこそ何もネタバレできないような映画です 笑。

50代の女優さんが唯一のレギュラー番組を干されそうになり、事故で病院に行ったら怪しい薬の案内を渡される。それは若返りができるというものだった。薬を実際に使ってみるとどうなるか、というのが大筋のストーリーです。

肉体の破壊・・・見ていて身体的に痛い、というボディホラーというジャンルの映画で、観ていると身もだえします。ご飯を食べながらは絶対に観られないですね。

ホラー映画の典型的なパターンとしてルールを破ると大変なことになる、というものがありますが、サブスタンスもこのパターンを踏襲しているものの、ルールの破り方にひと工夫があります。

とにかく怖いし、痛い。そして気持ちが悪い。

観客が観るだけで「痛み」を感じるためにはうまく作らないと作り物として捉えられてしまいますが、痛い、と感じます。こちらに伝わってくるのです。

そんな気持ちになる映画をなぜ観たいのか、ですか?

そのような体験は自分ではできないからです。したくもないですし。それを見せつけてくれる、疑似体験させてくれるのが、『サブスタンス』です。

▶『サブスタンス』公式サイト

5位. 『無名の人生』

日本のアニメーション映画で、鈴木竜也監督ほぼ一人で作っている作品です。監督初の長編作品となります。

絵を静止画で見ると、本当におもしろいのかな?と感じるのですが、アニメーションになると一転、大変な奥行きを感じるので不思議です。未だかつて見たことのないような映画で、観てから2か月は経過していますが今も内容を消化しきれていません。

解釈自体は難しくないのですが、内容が詰まっているので消化できないのです。

主人公の人生を追った内容で、子ども時代、ティーンエイジャー・・と進んでいくストーリーなのですが、時代によって呼ばれ方が違うため『無名の人生』というタイトルになっています。

観ていると人生について考えてしまいますが、かといってすべてがそれに帰結するかといえばそうでもなく。基本的には淡々と進んでいくので社会問題を描いて終わりなのだろうか?と思えば驚くような展開になったり。なかなか説明が難しい映画ですね、、。後半になれば予想していなかった先の話が出てきたり、観たことのないような映画になっていました。

こちらもネタバレできないので、ぜひ観ていただきたいです。

パンフレットについては監督自身が作っていて、分厚くて読み応えがありました。

▶『無名の人生』公式サイト

6位. 『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』

香港映画。ザ・娯楽映画です!

九龍城砦を再現しており、そこで大バトルを繰り広げます。お腹いっぱいになるくらい大バトルをしてくれます。とにかくずっとバトルしている映画です 笑。出てくる人が全員顔がよく(美男子ということではなく、イイ顔してるんです)、キャラクターも個性的で魅力的。一人ものすごく強い奴がいて、刀で切っても切られないなど、とにかくおもしろい。吉川晃司さんの「モニカ」を歌うシーンもなぜか出てきましたね。

頭からっぽで楽しめます!どの年代の方でも楽しめる映画だと思います。映画館でぜひ。

▶『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』公式サイト

7位. 名もなき者 a complete unknown

ボブ・ディランがデビューした時期と、フォークのフェスでブーイングをうけた時期の2つの時代を描いた映画。

ボブ・ディラン演じるティモシー・シャラメは、顔自体はボブ・ディランに全く似ていないのにもかかわらず、彼の演技や雰囲気はボブ・ディランのようでした。映画そのものも舞台である1960年代の雰囲気がよく出ていて格好よかったです。

ボブは好きに音楽をやっているだけなのに、フォークだからプロテストのミュージックイベントに出されて、最初はフォークをやっていて評価されていたけれど、自由を訴えるイベントなのに、エレキギターを使ったライブはダメだと言われて。音楽的な自由が制限される中、かたくなにエレキを使ってブーイングを浴びる時代の変化が感じられるところは、今となってはエレキ=不良の様な印象もないので、昔はそうだったんたんだなあと達観している感じになっておもしろい部分でもありました。

ボブ・ディランに興味がなくても、映画としておもしろいので楽しめますし、おそらくボブ・ディランのことに興味がわくと思いますよ。

▶『名もなき者 a complete unknown』公式サイト

8位. 『ドールハウス』

夫婦の小さな娘が事故で亡くなり、妻は骨董市で女の子の人形を買って悲しみを癒し落ち着きを取り戻していくが、次の子どもが生まれ、人形と同じくらいの年齢になると・・・

日本のホラー映画。長澤まさみさん、瀬戸康史さん等の俳優陣に加え、演出もすごくよかったです。ホラー映画ながら登場人物で亡くなる人はほぼいないのに、ものすごく怖いです。怖いけどめっちゃ楽しい映画です。

人形が入っていた箱にお札がたくさん貼られていて見るからに怪しかったり、夫が人形を初めて見るときのシーンだったり、怖いなかでも笑いの要素も含まれています。「この人形は様子が違うぞ?」と周囲がだんだんとわかってくる過程もおもしろかったですね。笑えたり、おもしろかったりするのに、やっぱり怖くて、最後の最後なんて本当にゾッとしました。

▶『ドールハウス』公式サイト

9位. 『異端者の家』

こちらもホラー映画。モルモン教の布教をしている二人の女の子が主人公で家々を訪ねますが、訪ねた先のおじさんが恐ろしい人だったのです。

最初は玄関口で話しているのですが、おじさんの巧みな話術に圧倒されて家の奥へと引き込まれ、抜け出せない状況に追い詰められていきます。女の子たちはおじさんに暴れられるなどされたら怖いのでうまく逃げようとするのですが、それが悪い方向に繋がっていくのです。最初は玄関口の入口にいたのに、家の奥に入っていくのが宗教にはまっていくこととうまくリンクして作られていました。

おじさん役を演じるのはヒュー・グラントで、最初は柔和で優し気なのに、顔がだんだん怖くなっていく様子が印象的でした。

▶『異端者の家』公式サイト

10位. 『教皇選挙』

ローマ教皇を決める選挙の裏側が舞台の映画。ドキュメンタリーではなく、選挙(コンクラーベ)に参加した人々等に取材をして制作されています。

全員一致でなければ決まらない選挙の特殊な方式だったり、派閥ごとの暴露だったり、そんな知らない世界を体感しながら一人に決まっていく様子を観ることができます。

おじさんばかりが出てくるので大丈夫なのかなと最初は思ったのですが(笑)、その割には画がキレイですし、構図もよく格好良かったです。最後の最後にどんでん返しもあって、エンタメ成分もあり、とても楽しめました。

▶『教皇選挙』公式サイト

配信の時代に、なぜ映画館で観るのか?

映画は・・いえ、映画に限らずですが、芸術鑑賞は初見が一番大事だと思っています。映画自体がスクリーンの画角で作られているので、例えば初見がスマホで観た場合、本来は映画館で観たならば、ものすごくおいしいものだったのに、それを十分に味わえていない、ということになります。体験として衝撃を受けたいと思っているのに、スマホで観たら本来受けられるはずだった衝撃は激減するでしょう(もちろん映画館で観ても衝撃を受けない映画もありますが・・・。いずれにしても自分にとって良いのか悪いのかなので、自分の足で映画館で体感するしかないですね)。

なので一度映画館で観た上で、配信で観たいですね。音楽も同様に、いい音で聴いた上で判断をしたいです。作り手が言い訳のできない環境でなるべく作品を味わうことが、一番衝撃的な体験になるし、その第一印象を得た上で、その後いろんなメディアで繰り返し楽しむことが出来るし、自分にとって良い映画であればあるほど、自分の幸せや満足度を高めるものになるので、初見が大事だと思っています。