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飛騨高山の町家

ローカライゼーション
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T. Fukushima

こんにちは、観光庁多言語整備事業でディレクターを担当している福島です。令和3年度は岐阜県高山市エリアを担当しました。今回の整備では、高山市が運営する「飛騨高山まちの博物館」の英語解説文の制作を行いました。

飛騨高山まちの博物館

高山市にある飛騨高山まちの博物館の入り口です。
飛騨高山まちのは区部館内の展示物の前で館長さんから解説をうけています。

飛騨高山は観光客に人気のスポットで、コロナ前には年間60万人もの外国人観光客が訪れていました。城下町として栄えた飛騨高山には、江戸時代の風情を残す町並みが国選定重要伝統的建造物群保存地区として、保存されています。多くの観光客はこの古い町並みが残るエリアを中心にお食事や、お買い物、観光などを楽しみます。そんな観光客に人気のエリアに「飛騨高山まちの博物館」があります。

この博物館は、高山市と飛騨地方の歴史、文化、芸術、工芸の保存と普及を目的として存在します。春と秋にある高山祭や高山の伝統的な木工品などの展示も行っており、無料で見学することができます。

また、博物館はこのエリアで商家として栄えた永田家と矢嶋家が所有していた土蔵を復元したものであるため、その点にも関心を持って見学してもらえるといいなと思います。

古い町並み

エディターとライターが古い町並みを歩いています。

そんな飛騨高山まちの博物館の多言語整備にあたり、取材で高山の町家、町並みについて解説をしてもらいました。私は以前から町家が好きで、岡山県の倉敷美観地区、和歌山の湯浅町の町並み、三重県内宮のそばにあるおはらい町、つい最近では東海道五十三次の宿場町として栄えた三重県の関宿の町並みにも足を運びました。しかし、専門家の方に解説をしてもらった経験はありませんでした。

高山は国内の古い町並みの中でもトップランキング(何を基準にランキングをつけるのか微妙ですが。)に入るであろう町並みなので、今回取材で専門家の方の解説を聞ける機会に恵まれたことに感謝しかありません!

ちなみに、私は大阪在住なので、関西圏以外の情緒のある古い町並みが残る地を訪れる機会がなかなかありません。リタイア後には古い町並み巡りをしたいと思っています。「妻籠宿(つまごじゅく)」とか行ってみたいです。

飛騨高山の町家の特徴

それでは飛騨高山の町家の特徴をご紹介します。

飛騨高山の町家は、農民の方の住居として利用されていたものと商人、職人の住居や工房として利用された2種類に分類されます。高山の町家は、伝統的建造物群保存地区の指定を受けており、江戸時代後期の商家の当時の様子が残っています。

町家は当時、間口で税金の額が決まることが多かったため、間口は狭くほとんどが奥行きが長い形をしています。また、高さが平均して約4メートルほどと、他の地域の町家と比較すると低くなっています。通りに面する部屋は、日常の商売をするための店先の役目を担っていました。

日下部民藝館の入り口です。
日下部民芸館の館内。下のほうから天井を撮影しました。

ほとんどの町家は、入り口を入って奥へ進むと、敷地内には土蔵と庭があります。また、屋根は瓦ではなく板葺と呼ばれる木製の板で覆われていました。(現在は鉄板などにかわっています。)高山の冬には雪が多いため、上層部の屋根が下層部の屋根よりも長く、振った雪が解けた後に軒先の溝に落ちるようになっています。(ちょっとしたことですが、地域ならではの工夫がされています。)

日下部民芸館の展示物で、工芸品などが展示されています。
日下部民芸館の奥にある倉の入り口

いくつかの町家は見学が可能で、取材時には日下部家民藝館を見学しました。館内では高山の職人の作品などが数多く展示されています。ぜひ、高山に行く機会があれば訪れて欲しいなと感じました。また、周辺には宮地家住宅吉島家住宅、などもありますので、一緒に足を運んでほしいです。

解説文とガイド

多言語整備事業の取材を通じて学んだことですが、地域の文化財や特産品、食事などを観光客が理解して楽しむには、ガイドさんに説明してもらうのが1番だということです。そして、ガイドさんがいない場合は、読んで面白い解説文があるかどうかで、観光客の満足度が決まると思います。多くの解説文が観光客の目線で作られておらず、充分な魅力が伝わっていないのは残念です。多言語整備事業を機に、様々な日本語の解説文も将来的にリニューアルされていくと、国内旅行者の満足度もあがるのではないかなと感じています。

また、私は美術館に訪れるときには必ずオーディオガイドを借りるのですが、ガイドさんを頼むよりハードルが低く、手軽に作品の良さを知ることができます。最近は音声ガイドで解説文をサービスするスポットも増えてきていますし、弊社で担当した横浜市の案件も音声で街歩きを楽しむことができます。動画や音声に慣れ親しんだ昨今、テキスト離れが課題として取り上げられていますので、観光客の満足度を上げていくには、今後スマートフォンを利用したオーディオガイドがたくさんのスポットで求められるのではないかなと感じています。