
見えない不便を、テクノロジーでサポート
街中のポスターや商品パッケージ、案内板など、QRコードは今や私たちの生活に欠かせない情報の入り口です。しかし、その便利さも「コードの位置がわからない」「読み取っても次にどう操作すればよいかわからない」といった壁により、視覚に障害がある方々にとっては、かえってストレスになってしまうこともあります。
そんな課題を解決するために開発されたのが、**視覚障害者の利用に特化したQRコードリーダーアプリ「VIPコードリーダー」**です。
アプリの概要
「VIPコードリーダー(VIP Code Reader)」は、視覚に障害のある方々(Visually Impaired People)の使用環境に最も適した形で開発された専用のQRコードリーダーアプリです。補助音声ガイダンスが付いており、音や振動で状況を知ることができます。
現在対応している言語は以下の通りで、世界中のユーザーにご利用いただけます。
日本語/英語/簡体字・繁体字(中国語)/フランス語/スペイン語/インドネシア語/タイ語/韓国語/ヒンディー語/ベンガル語
開発の背景
Accessible Codeの開発当時、視覚障害のある当事者の方々から様々なお話を伺う中で、世の中にある一般的なQRコードリーダーが必ずしも使いやすいものでは無いという意見が多くありました。そこで弊社独自でも、視覚障害者の利用に特化したQRコードリーダーアプリを自社開発し、無償での提供をスタートしました。その後、スマートフォンに標準搭載されたカメラでもQRコードの読み取りができるようになり、いったんは役目を終えたようにも見えました。しかし現在でも、視覚障害者の使いやすさを追求した専用アプリならではの機能を求める声が寄せられており、2024年10月に最新のiOSに対応しました。その後も引き続き、機能改善アップデートを行っています。
主な機能と特徴
①アプリを起動するだけで、自動読み取り&ページ遷移
アプリを起動すると自動でカメラが起動し、ピーン、ピーンというレーダー音が鳴ります。
この音の間隔が、スマートフォンとQRコードの位置関係によって変わるため、音を頼りに向きを調整することができます。
QRコードがカメラの範囲内に収まると、”1秒”で読み込み、すばやくリンク先のページが開きます。その際に、音でもお知らせします。タップなどの操作は一切必要ありません。

②状況を「音」と「振動」でお知らせ
・QRコードがカメラ内に映っていない場合 → 10秒ごとに「QRコードが見つかりません」という音声が流れます。
・インターネットに接続されていない場合 → 「インターネットに接続できません」という音声が流れます。
・読み取りに失敗した場合やコードにデータがない場合 → エラー音で知らせます。
・読み取りが完了した時は、音と振動で知らせます。
このように、アプリが”今どういう状態なのか”を「音」で分かりやすく伝えてくれます。
③「履歴」機能
一度スキャンしたページは、履歴から再度呼び出すことができます。
④「お気に入り」登録
よく使うページはお気に入りに保存できます。

⑤アクセシビリティ設定が充実
使用言語、振動の有無、レーダー音の調整など、自分に合った使い方にカスタマイズできます。

おすすめの使い方
QRコードをうまく読み取るためには、スマートフォンと印刷物の距離・角度の取り方が大切です。たとえば、A4サイズの紙であれば、スマートフォンを約20cm離してかざすことで、紙全体が画面内に収まり、どの場所にQRコードがあっても簡単にすばやく読み取ることができます。
特におすすめの姿勢は、以下の通りです:
・椅子に座り、目の前のテーブルに用紙を置く
・スマートフォンをあごの下にあてがうように持つ
・スマートフォンのカメラが用紙の真上を、机と平行になるようにかざす
この方法で、よりスムーズな読み取りが可能になります。

また、現在のスマートフォン(iPhone、Android)には、視覚障害者向けにアクセシビリティを高める機能が標準で搭載されています。設定を行えば、画面上のテキストを音声で読み上げる「VoiceOver(iOS)」や「TalkBack(Android)」を活用することができます。VoiceOverを普段から使っている方は、VIPコードリーダーでスムーズにQRコードを読み取れば、リンク先のコンテンツも普段お使いの読み上げ機能で確認できます。
さらに、「QR Translator」や「Accessible Code」など、多言語・音声対応のコンテンツに対応した2次元コードと組み合わせて利用すれば、世界中の視覚障害者にとって、より一層便利で使いやすくなります。
※Accessible Code(専用アプリ不要)は、音声だけでも正確に情報取得ができるように音声の調整を施しています。
見えない世界に、情報の自由を
QRコードが身近にある時代だからこそ、「見える」ことが前提となった仕組みでは、情報にアクセスできない方が取り残されてしまうこともあります。
「VIPコードリーダー」は、視覚に障害がある方が迷うことなく、ストレスなく、QRコードの情報にアクセスできるように設計されています。
――見えにくいからこそ、よりシンプルに、直感的に。
「VIPコードリーダー」と「Accessible Code」のような仕組みを組み合わせることで、世界中の視覚障害者の方々にも、より多くの情報を届けることができます。