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チャンネル登録者数20万人超のジャパンガイド編集部に聞く、動画制作の極意

ジャパンガイド
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A. Nishio

前回の「動画プロモーションにおけるチェックポイント」では、ジャパンガイドの動画事例を用いて、効果的な動画の特徴を紹介しました。
では、実際にユーザーからの高評価を維持する動画を提供するためには、具体的にはどのような手順で、なにを重要視して制作する必要があるのでしょうか。
今回は、ジャパンガイド制作チームに、制作における理念や動画構成におけるポイントなどをインタビューし、その極意を皆さんにご紹介します!

ユーザー志向を綿密に分析したコンテンツ制作

Q. ジャパンガイドの動画は、YouTube内の平均視聴者維持率・平均視聴時間を大きく上回る高評価な動画が大多数を占めていますが、これらの数値を高く保つために重要なポイント、動画制作時に意識していることは何ですか。

A. 常に意識していることは主に以下の2点です。

視聴者を魅了するプロフェッショナルで高品質な映像と編集 ー 映像と編集の質を最大限まで追及することで、YouTubeに日々アップされる多種多様な動画との差別化を図ります。

訪日に興味のある視聴者をターゲットにした、魅力的でわかりやすいオリジナルストーリーを紹介 ー ターゲットとなる視聴者が求める、興味深いコンテンツをストーリーで提示します。

ドローンも駆使した視覚的に美しい映像が特徴:The Best Places in Toyama

Q. 外国人視聴者にクリックしてもらえる魅力的な「動画タイトル」「サムネイル」は何でしょう?

A. タイトルやサムネイルは非常に複雑なポイントで、実際に私たち自身もまだ試行錯誤を繰り返しています。
視聴者に間違った期待を抱かせないように、タイトルは「視聴者になにを提供するか」を明確に伝えなければならないと考えています。
センセーショナルなタイトルやサムネイルで注目を集めることやクリック数を稼ぐことは簡単かもしれません。
しかし、それによって間違った期待を持ったユーザーが動画にアクセスしてしまうと、結果的に離脱率が高くなったり、視聴者からの評価が低くなったりと、キャンペーンは成功したとはいえません

一般的に、ジャパンガイドの視聴者は、東京や京都などの有名な場所だけでなく、富士山や伝統的な建築物など、「いかにも日本的な文化的要素」を好むことがわかっています。
逆に言えば、認知度の低いエリアやスポット、日本文化にあまり関係のないコンテンツを扱う場合は、プロモーションが大変難しくなります。

視聴者の好みを考えて設定された、日本らしい伝統的な町並みのサムネイル:
Yoshino and the traditional town of Imaicho
シンプルでわかりやすいタイトル設定も重要:
Tokyo to Kyoto via Hakone

Q. ジャパンガイドの欧米豪圏ユーザーに人気の高いコンテンツは何ですか?また、その理由は何だと思いますか?

A. 最も人気がある動画は、旅行に関連する実用的な情報を紹介した「How to 動画」や、人気のある観光スポットを紹介した「TOP5動画」です。
他にも、各地域を周遊する旅程を紹介したトラベル形式の動画の中にも、高い再生回数を誇る動画が多数見られます。

テンポがよく、わかりやすく楽しい、実用的なコンテンツであること、またそれぞれの動画が私たちの長年の日本を旅した経験をもとに作られていることが人気の理由だと思います。

初めて日本を訪れるユーザー向けに15のアドバイスを紹介する動画は、2021年7月現在で約260万回再生されている
15 Tips for First-Time Travellers to Japan

視聴者別にみる動画の視聴傾向

Q. 外国人視聴者は、どのような動画を好むと考えていますか?

A. それは、人によって、またその人の映像を見る目的によって大きく異なると考えています。非常に一般的に言えば、トラベル動画の場合、視聴者と視聴目的は3つのタイプに分類されると考えています。

パターン①:交通手段や文化的な習慣など、旅行に関する具体的な情報を探している視聴者

上記に該当する視聴者は、「How to動画」や「TOP5動画」のように、具体的な情報が提供されている動画を好みます。彼らは、実際の訪日を前提としているため、観光関連商品のプロモーションに最も適した視聴者層であると考えています。

パターン②:将来の旅行のためのインスピレーションを得るために動画を視聴する視聴者

上記の該当する視聴者は、旅行先や文化について素敵な映像と共に紹介された動画を好みます。将来的な訪日確度が高く、観光業界のプレイヤーにとっても関心の高い層だと考えています。

パターン③:面白い動画を見て時間を潰しているが、訪日には必ずしも興味がない視聴者

上記に該当する視聴者は、センセーショナルでインパクトのある映像や口コミ動画を好みます。旅行先としての日本への関心は表面的なものが多く、上記2つのタイプに比べてプロモーション効果は低いと考えられます。

Q. どのようなプロモーション動画を制作すると実際に現地に足を運んでもらえると考えていますか?

A. 視聴者の個々の興味を喚起する動画 ― 魅力的に旅の目的地を紹介するとともに、美しい映像を見せるだけではなく、移動手段や歴史的背景の紹介など目的地を理解してもらうための動画を制作することが重要と考えています。

マップを使い、スポットの位置情報から交通手段まで詳細かつ視覚的に紹介する

嘘偽りなく、視聴者にインスピレーションを与え、惹きつけることができる動画を制作したい

Q. 動画制作において、心がけていることは何ですか?

A. 動画制作において、視聴者がわくわくするようなコンテンツ、インスピレーションを提供し、動画を見終わった後に彼ら自身の旅のアイデアとして活用してもらえるような作品を作りたいと思っています。

常に過去最高の動画を作ることを目標に、企画から撮影、制作、編集のすべてのプロセスにおいて高いクオリティーを維持するよう心がけています。
「このシーンはどうやって撮ればいいのだろう?」「もっと魅力的に見せるには?」「緊張感を持たせるには?」と現実に即した正直な視点を持ちながら試行錯誤して動画を制作していきます。
このようなクリエイティブな作業を続けていくことで、私たちの作品が日々進化していると思います。

良質な動画とは、嘘偽りなく、視聴者にインスピレーションを与え、惹きつけることができるものだと考えています。
高機能なカメラで撮影し、世界最高の画質な映像を提供しても、頭の中に良いストーリーやアイデアがない限り、最終的なコンテンツは当たり障りのないものになってしまいます
良い品質は、良いアイデアから生まれます。良いアイデアがあれば、技術はそのアイデアをよりインパクトのあるものにするためのツールに過ぎないと考えています。

正しいターゲティングが生む効果的なプロモーション

Q. 動画における“成功の定義”はどのようなものだと考えていますか?

A. ずばり、正しいターゲティングです。

日本に興味のない100万人の視聴者が見る動画よりも、ターゲットを絞った1万人の視聴者が見る動画の方が、その目的地やサービスをプロモーションする際には遥かに効果的です。

そのためには、数字に注意する必要があります。数字を疑ってみてください。必ずしも視聴回数が多ければ良いというわけではありません。
YouTube上には、高評価・低評価の数、動画に寄せられるコメントの数や種類など、他にもさまざまな指標となるデータが開示されています。
広告を活用し、莫大な再生回数を稼いでいる動画には要注意です。広告を利用して稼いだ動画の再生回数の高評価率、コメント数などは、広告を利用していない動画の再生回数のそれらに比べて低い傾向があります。

長期的なプロモーションの成功のためには、まず、「どのようなタイプの観光コンテンツ・旅行者をターゲットにしているのか」「長期的な目標は何か」を明確に定義することをお勧めします。

そして、ターゲットグループに合う視聴者層を持ち、制作理念が合致するメディアを見つけてください。
そしてそのメディアと協力して、長期的な目標に合わせてよく練られたコンテンツを作ることが、動画プロモーションの成功へのカギとなると考えています。

ジャパンガイド事業についての詳細:https://www.export-japan.co.jp/solution_services/japanguide/