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ジャパンガイドの“ターゲットに合わせた記事”ができあがるまで

ジャパンガイド
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H. Oikawa

先日の当ブログ記事では、東京都内のスポット別のアクセスを分析しました。「新宿」や「渋谷」などといった知名度の高いエリアのページは旅マエにアクセスが多く発生していました。一方、「都庁」などの個別のスポットや「高尾山」などの郊外のエリア・スポットは旅ナカのユーザーからのアクセスが多いという傾向をご紹介しました。

この傾向から、「東京」と一括りにされるエリアでも、プロモーションの内容によってターゲットを旅マエ・旅ナカのどちらかに設定すること、そしてそれに合わせてコンテンツ制作を行うことが必要であることを提言しました。

とはいっても、例えば「旅ナカのユーザーを郊外に誘致するプロモーションを行いたい」と思ったとき、具体的にどうコンテンツの中身を決定していけばよいのでしょうか?

そこで今回は、ジャパンガイドで昨年(2020年)8月に掲載された埼玉県行田市をめぐる”A Stroll Through Gyoda”を例に、ジャパンガイド編集部が普段、どのようにコンテンツの企画から制作まで行っているのかをご紹介します。

記事の内容

当記事はお客様からのご依頼で作成したものではなく、ジャパンガイド編集部が独自に制作したものでした。

内容は以下のような構成になっています。

  • イントロ(行田の簡単な紹介)
  • 中山道沿いに自然の中を散策
  • さきたま古墳公園
  • 埼玉県立さきたま史跡の博物館
  • 旧遠藤家住宅(江戸時代の農家)
  • 行田市街地の散策
  • 忍城
  • 行田市郷土博物館
  • アクセス
記事全体のスクリーンショット
記事全体のスクリーンショット

コロナ禍の環境、およびサイトユーザーの特徴を考慮した取材地選定

2020年5月下旬の緊急事態宣言解除後も依然としてコロナ禍が続いていたため、編集部も状況を考慮して取材地の選定を首都圏近郊とする方針を採っていました。

ジャパンガイドのユーザーの約60%以上は訪日リピーターであり、ユーザーの約50%が伝統文化に対して強い興味を持っています(媒体資料p11-12参照)。
さらに、国境が閉鎖されている状態でサイトを訪れるユーザーは日本在住の外国人とコロナ収束後の訪日意欲が強い人々(=訪日旅行ファン)が多いと思われます。

これらの事情を踏まえ、「首都圏近郊で文化を楽しむことができ、かつ訪日リピーターの多くがまだ訪れたことが無いが、新たに興味を持ってもらえそうな場所」の情報収集を始めました。

ジャパンガイドユーザーの訪日回数(媒体資料p11より)
ジャパンガイドユーザーの訪日回数(媒体資料p11より)
ジャパンガイドユーザーの日本旅行における興味分野(媒体資料p12より)
ジャパンガイドユーザーの日本旅行における興味分野(媒体資料p12より)

今回の記事執筆を担当したイギリス人ライターのMattは取材エリアを決めるため、インターネット上で情報収集を行いました。
その結果、行田を取り上げる最終的な決め手となったのは、埼玉県物産観光協会が運営するChocotabi Saitamaのサイトで紹介されていた行田の古墳時代の遺跡や忍城に関する情報でした。

Chocotabi Saitamaのトップページ
Chocotabi Saitamaのトップページ

取材の目線とターゲット

正確・最新の情報を発信するため、ジャパンガイドではネット上で見聞きした情報のみで記事を制作することはありません。
ライターが実際に現地を訪れ、下調べした情報を基に、記事の材料となる情報や写真を集めて回ります。

またライターは取材中もあくまで「外国人観光客の目線」で、サイトユーザーが求めている情報を意識しながら情報を集めていきます。

取材中のMatt
取材は見るだけでなく、実際に体験などにも参加する(上記写真は別の記事の取材時のもの)

Mattの場合は過去にイギリスの旅行代理店で訪日旅行の手配を担当していた経験があります。
当時、お客様から多かったリクエストが「日本の中でもまだ知られていない場所に行ってみたい」というものでした。
今回の記事も、上記のような訪日リピーターで、メジャーなスポット以外の場所を探しているユーザーをメインターゲットとしており、「当時のお客様たちに向けて紹介するイメージで制作した」と述べています。

スポットの取捨選択

行田の場合、Mattが最も興味深いと感じたものは忍城で、記事のトップ画像にもなっています。
外からは美しい外観を、中では城の構造や歴史を楽しむことができることが理由です。
さらに重要なポイントとして、観光客がそこまで多くないため、落ち着いて楽しむことができる点も、記事で取り上げる題材としては好印象でした。

実際に城を訪れ、英語対応にはまだ改善の余地が見られたものの、日本語ができない外国人でも楽しむことができるスポットであることを確認し、記事で紹介することに決めました。

また事前調査で紹介したいと思ったスポットでも、最終的に記事で紹介しない、もしくはそもそも取材の行程から外す場合もあります。

行田の記事では当初、古代蓮の里も魅力的なスポットとして紹介したいと考えていました。
しかし、取材時は古代蓮のシーズンではなく、その魅力を存分に伝えることができる写真が取れないという懸念がありました。

さらに、あまり多くのスポットを記事内に盛り込んでも、1日で回ることができない行程になってしまう恐れがあります。

これらの理由から、古代蓮の里は今回の記事の取材対象から外すという決断に至りました。

記事制作

「都心を離れた場所」というコンセプトを意識した写真選定
「都心を離れた場所」というコンセプトを意識した写真選定

取り上げるスポットは取材中に得た情報に加えて、取材後も適宜、歴史や小話などを調べたうえで紹介記事を作成していきます。

単純にきれいな景色の写真とともに基本的な情報のみを提供するのではなく、このように各スポットのストーリーや、ライターが現地で感じたことなども書き加えることで、その魅力をより一層サイトユーザーに伝えることができると考えています。

忍城の紹介では、城が豊臣秀吉の軍勢による水攻めに耐えたこと、それが由来で亀城という別名がついたこと、映画『のぼうの城』の舞台となったことなどが説明されている。
忍城の紹介では、城が豊臣秀吉の軍勢による水攻めに耐えたこと、それが由来で亀城という別名がついたこと、映画『のぼうの城』の舞台となったことなどが説明されている。

アクセス状況

当記事が公開された2020年8月19日から2021年4月22日までのアクセスをGoogle Analyticsで解析したところ、国別アクセストップ5は以下のような結果となりました。

  1. 日本(31%)
  2. アメリカ(14%)
  3. カンボジア(8%)
  4. カナダ(6%)
  5. イギリス(6%)

(位置情報を基に解析)

日本からのアクセスが31%で最多でしたが、それらの端末設定言語を調べると日本語の割合はわずか14%であったのに対し、英語の割合は55%でした。
つまり、日本からのアクセスもほとんどは在日外国人からのアクセスであると考えられます。
これは、今回の記事のメインターゲットである「首都圏近郊でまだ知られていないスポットを探しているユーザー」に合致した結果であると言えるでしょう。

3位のカンボジアは意外な名前ですが、PV数に対してセッション数が極端に少ないこと、カンボジアからのアクセスであるにもかかわらず、すべて英語設定の端末からアクセスであることから、おそらくbotなどによる機械的なアクセスであると考えられます。

そのほかはアメリカ、カナダ、イギリスと英語圏の国が占めており、ジャパンガイド全体のアクセス傾向と同様の結果になっています。

まとめ

今回は、「東京へのアクセスユーザーが、サイドトリップできる近郊情報のニーズを持っている」という前提に対して、ジャパンガイドの記事がターゲットに向けて作られる工程を、行田の記事を例としてご紹介しました。

また記事制作の流れのみならず、ライターの視点や、魅力的なスポットでも記事で取り上げない場合もあることもご紹介しました。

行田以外にも、首都圏近郊を取り上げた記事には以下のようなものがあります。

もしお時間ございましたらご覧ください。

 

ジャパンガイド事業についての詳細:https://www.export-japan.co.jp/solution_services/japanguide/