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Accessible Codeによる子育て環境改善の対策事例

アクセシブルコード
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K. Wozniak

弊社のインクルーシブデザイン・テクノロジーの Accessible Code(アクセシブルコード)は、3年以上に渡る視覚障害者支援団体との取組みの中で、現場のニーズを詳細にヒアリングすることによって誕生しました。視覚障害をお持ちの方々にとって、日常生活における最も大きなバリアの一つが、食品や医薬品など実際に口にするものの情報を自分自身で取得するのが難しい事だということが明確となりました。

以下は、視覚障害者100名への複数回答によるアンケートの一部となります:

しかし、開発中だけでなく、その後も支援団体や、事業アドバイザーの協力のもと、視覚障害者の様々なニーズに耳を傾け、当事者の意見を弊社のソリューションに反映し続けてきました。そして、その対話の結果で判明したのは、自分自身の口に入れるものであれば、おおざっぱに調べたり、調べずに飲食することがたまにあっても、子供に与えるものであれば、手間暇をかけても、慎重に調べることが多いようです。

また、それは視覚障害者に限る話ではなく、恐らくどの親でも同じ経験をしたことがあるのではないでしょうか。

Accessible Code は、ユニバーサルデザインであるため、想定されるユーザーは視覚障害者の方だけでなく、ディスレクシアなど様々な原因で、長いテキストや日本語が読めないなど不便を感じている方も含まれているため、社会で広く使われるソリューションとなっています。

在日外国人の育児状況

在日外国人の子育て・教育に関する調査結果から下記のようなニーズが明確になります:

図表 94 日本に居住する子どもの有無(単一回答)
図表 96 日本に居住する子どもの年齢(単一回答)

子供がいる在日外国人の割合は40%で、その半分以上は12歳以下の幼児・児童になる、ということが分かります。そして、小さい子がいる家庭の中では、日本語を自由に読める方の割合はどのくらいでしょうか。もし、家族の中で読める人がいても、読めない方が1人なったときには日本語での情報アクセスが制限されて、かなり不便となります。

また、在日外国人に限ったことではなく、子連れの観光客にも当てはまります。そのため、旅行中の子育て世代を考えると、子供用品における情報アクセスの需要がより高くなると言えます。

利用場面

大前提として、Accessible Code の設置に最もおすすめなのは製品のパッケージとなります。当事者が買い物などの際に、周りに人が多い場所では、困ったことがあっても、助けてくれる人がいます。しかし、外出中等ではなく、家やホテル、滞在先に戻った後、情報へのアクセスが一番必要になると推測できます。

例えば、視覚障害者の場合、買い物を済ませて、自宅に帰ったら、購入した商品が混ざり、棚に置いて時間が経つと記憶が曖昧になるため、パッケージ上の情報を得ることができません。外国人の方であれば、読めない言語で記載されているアレルゲンや商品の使い方等について調べることも大変でしょう。

そのような時に、Accessible Code がパッケージに付いていれば、多言語&音声で必要なタイミングでいつでも情報を届けることができます。ユーザーは、第三者を介さずに主体的に情報を得ることができるようになり、より自立した生活が送れるようになります。

アクセシブルコードの利用場面

ケーススタディー : 乳児用調製粉乳の事例

子供・幼児用品という言葉の幅がかなり広く、具体的にどういう物にAccessible Codeが向いているのか、簡単なサンプルを通じて、見ていきましょう。

QRコードサンプル

専用のアプリケーションが不要のため、上記のQRコードを読み取るだけで、お手持ちのスマートフォンの設定言語に合わせて商品の音声付きの多言語ページが表示されます。

① パッケージ画像

ユニバーサルデザインであるため、音声データやアクセシビリティを重視した作りにはなりますが、同時に商品のパッケージ画像など、ご希望の画像を大きく掲載できます。また、コントラスト比などを配慮しつつ、ページ全体の色合いやデザイン等はパッケージに合わせることが可能です。そのため、白黒のテキストだけでなく、目が見える方にとってもビジュアル的に見やすい内容を作成する形となります。

② 基本情報

内容量、賞味期限(例:〇〇日間、開けてから〇カ月等)、原材料名、保存方法等、重要情報を適切な順番で掲載すれば、ワンステップで「読み上げ機能」が追加され、希望の言語への「翻訳※」も可能です。その際はテキストデータだけでなく、多言語の音声データにも読み上げに不自然さがないよう、弊社のスタッフによるチェックと調整を行い、正確な情報習得が可能になります。

※翻訳のオプションが複数あり、用意していただくことも可能ですが、弊社のネイティブスタッフによる翻訳も選択できます。

③ 調乳方法

パッケージと異なり、テキストデータの制限はないため、基本情報だけでなく、使い方などの手順をイラスト付きで掲載すると同時に、文字データも多言語化することも可能です。乳児用調製粉乳の事例ではその作り方を紹介していますが、その他の注意点や伝えたい情報を画像、テキストや動画等、ご希望の形で埋め込むことが可能です。

なお、リンク掲載も可能となりますので、オフィシャルサイト、製品ページへのバナーリンクを掲載することでサイトへのアクセス増加の対策にもなり、キャンペーンなどスペシャル情報への誘導も可能となります。また、忙しい子育て世代向けにはオンラインストアへのリンクを掲載するなど、パッケージとインターネット空間を繋げるための取り組みを積極的に行うことも可能になります。

Accessible Codeの導入・印刷について

印刷面(包装資材)の仕様については、コードがある位置を凹凸触覚(デボス・エンボス加工)によって明示する事が必要となります。そのためパッケージデザインの改変も必要となります。なお、紙パッケージの場合、印刷は比較的簡単ですが、プラスチック製のパッケージなど、同様の仕組みでもチャレンジとなるケースも少なくありません。

紙パッケージであれば、医薬品を中心に豊富な実績がありますが、スチール缶や、プラスチックに関しましては印刷方法を検討することになるでしょう。しかし、一つのコードを作成すれば、様々な形で活用いただけます。例えば、同じ製品に紙パッケージとプラスチックパッケージが同時に使われていれば、紙パッケージにはAccessible Code、そして紙以外にはQR Translator※として導入することが可能となります。

※QR Translatorとは、エクスポート・ジャパンの関係会社のPIJINが開発した、スマートフォンユーザーの使用言語に合わせて翻訳文を表示させることを可能とするQRコードとそのシステムのことです。世界各国で特許を取ったそのシステムはAccesssible Codeのバックエンドとなっています。 (詳細はQR Translatorの公式サイトをご参照ください。)

少子化対策・子育ての環境改善 : ギミックではない本物の支援

少子高齢化が深刻な問題になっている中、子育ての改善対策が広く求められています。しかし、それらの取り組みには大きなコストが伴い、導入までの時間が必要なだけでなく、子育て世代の多様なニーズに応えること自体も簡単ではありません。そんな中、QR TranslatorAccessible Code をご利用いただく主なメリットとして、下記の4点が挙げられます。

メリット① インバウンド対策

在日外国人の子育てを支えるだけでなく、子連れの外国人観光客も想定ターゲットとなり、日本中の外国人の子育て世帯に安心を与えられます。

メリット② バリアフリー

健常者だけでなく、視覚障害者の方々のためにも正確な音声データを届けることで、様々な状況に応じた子育ての支援をサポートします。

メリット③ デジタルトランスフォーメーション(DX)

パッケージとウェブサイトの懸け橋として、近年進んでいるデジタル化の対策として使用することが可能となり、QRコード内にキャンペーン情報を埋め込むこともできます。また、アクセスデータもリアルタイムで取得でき、マーケティングデータとして活用いただけます。

具体的には、下記の世界地図のように、購入された製品がいつ、どこで、何語で読み取れたかのデータはリアルタイムで確認できるようになるため、将来的にマーケティングや海外展開のためにも使用することが可能となります。

メリット④ 話題性
  • ● 様々な言語話者へもアレルギー等の情報提供が可能
  • ● パッケージやラベルでは記載しきれない+α の情報提供が可能
  • ● 点字を用いずに目の不自由な方々への情報提供が可能
  • ● 発達障害等で文字情報の理解が困難な人へも音声で情報提供が可能
  • ● 全世界での顧客分布の情報を可視化
  • ● 商品に瑕疵等が発見された場合にも即座に情報を更新
  • ● ペーパーレス対応(複数言語の説明書等印刷代削減や環境への配慮)

(詳細はAccessible Codeページをご参照ください。)

まとめ

食べ物や飲み物や薬品などといった、口に入れるものになると材料やアレルゲン、正しい使い方・作り方などの情報へのアクセスを求めるのは当たり前のことですが、子供・幼児になるとそのニーズがより強く、重要となります。そして、こちらは目が見えない方や日本語読めない方だけでなく、忙しい子育て世代も簡単に片手でパッケージの情報をスマートフォンで読み取り、それ以上の説明にもアクセスができ、更にワンクリックでオンラインショップのページも開けたら、少しだけ便利な世の中になるのではないでしょうか。自由な使い方と幅広いカスタマイズによってAccessible Codeの可能性が非常に広く、様々な製品に合わせやすくなっています。もし、こちらの記事に書いてあるようなニーズがありましたら、まずは是非想像をしてみてください。