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「サイトワールド2025 」みんなで挑んだ初出展

アクセシブルコード
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F. Izumi

10月16日~18日に開催された視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド2025」に、私たちエクスポート・ジャパンは初めて出展しました。展示は、言語や視覚の壁を越えて情報を届ける仕組み「アクセシブルコード(Accessible Code®)」と、音声と振動ガイダンス付き読み取りアプリ「VIPコードリーダー」の2つのサービス。
今回の出展では、一人でも多くの視覚障害者の方々や関係者の方たちにこの仕組みを直接体験し、知っていただくことを目的としました。

触れて、聴いて、伝わる展示体験

会場では、実用化されているアクセシブルコード付き製品をはじめ、開発中の試作品も展示。触覚でQRコードを識別し、スマートフォンでかざすと音声と多言語で内容を確認できるデモを体験していただきました。

試作品には、より多くの方にわかりやすく情報を届けるための工夫を盛り込み、今後さらに多様な製品パッケージへ展開できるよう、来場者の皆さまからの声をもとに改良を進めていく予定です。

試作品パッケージ

3日間の会期中、ブースには多くの来場者が訪れ、実際に手に取りながら「これはすごい」「こういう情報提供を待っていた」といった反響をいただきました。

「QRコードの位置が決まっていれば安心して探せる」「右下など定位置にあると分かりやすい」といった配置や触覚デザインに関するご意見のほか、「パッケージとコード部分のコントラストがはっきりしていると見つけやすい」「凹凸がより明確であると良い」「箱のデザインに浮き出し加工などがあると、アクセシブルコードの凸凹がわかりにくい」といった視認性・認識性への提案も寄せられました。

また、「シャンプーや洗剤の詰め替え時に区別できるのは助かる」「お菓子や飲料など、どんな商品にも付いていたら嬉しい」など、日常生活での活用を期待する声も多くありました。 アンケートでは、「どんな商品についていてほしいか」という設問に対して、食品関連が過半数を占める圧倒的多数という結果に。商品によって付いている/いないがあるのではなく、全ての商品に付いているのが望ましいというお声も多数あり、医薬品、化粧品、洗剤・シャンプー、家電・取扱説明書、美術館・交通案内など、生活のあらゆる場面での期待が寄せられました。

「読み上げてくれると楽しい」「テキストをコピーして家族と共有できるのが便利」といった体験そのものへの喜びの声も多く、 中には「以前の体験会で話したことがアプリに反映されている!」と気づいてくださる方も。これまで積み重ねてきた改良が実際に届いていることを実感でき、開発チームにとっても大きな励みになりました。

みんなで挑んだ初出展

出展にあたり試行錯誤を重ね、これまでの体験会で得た経験も活かしながら準備を進めてきました。とはいえ、初めての取り組みだけに「何がベターなのか」は手探り。思い通りにいかない場面もありましたが、そこはやはりチームの力です。

当日は、事業部のメンバーだけでなく、他部署からも多くのスタッフがサポートとして参加してくれました。ブースでは、来場者への説明や体験補助を通じて、「自分の言葉で説明することで理解が深まった」「説明しながら課題にも気づけた」「普段関わりのない事業でも、自分ができることがあると感じた」「楽しかったし、また機会があれば参加したい」といった声が多く聞かれました。

展示会を通じて、会社全体で学び合い、支え合う機会が生まれたことは今回の大きな成果のひとつ。 業務の垣根を越えて「自分もこの取り組みに関わっている」という実感が、チームとしても会社としても一体感をより強くしてくれたように感じます。

運営側として感じたこと

私自身、今回は出展社としてだけでなく、展示会の実行委員として運営側にも関わらせていただきました。委員の皆さんは、長年この分野で第一線を担ってこられた方々ばかりで、その中に一員として加われたことは大きな学びと刺激になりました。

運営にあたっては、各種準備や安全面の配慮をはじめ、協賛・後援くださる多くの機関との連携、駅や会場関係者との協力体制など、あらゆる方々の支えがありました。なかでも、3日間でのべ179名にのぼるボランティアの皆さんの存在は特に印象的でした。展示会の主旨に共感し、それぞれが温かい思いで力を注いでくださり、この展示会が「人の力でつくられる場」であることを改めて実感しました。

出展企業や来場者の皆さんも近い距離で意見を交わし、会場全体が一体となって温かい空気に包まれていました。大きな事故もなく無事に3日間を終えられたのは、すべての関係者の丁寧な配慮と協力の賜物です。

今年で第17回を迎えるこの展示会は、これまでの道を切り拓いてこられた先駆者の方々が育ててきた貴重な場でもあります。その想いを大切に受け継ぎながら、時代とともに変化する課題に対して工夫と改善を重ねていくこと。そして、視覚に障害のある方々に情報を正確かつ安全に届け続けることが、運営側としても、そして出展社としても継続して取り組むべき大切な使命だと感じました。

これからの展望

今回の出展の目的は、何よりも当事者の方々への認知拡大と、実際に体験していただく機会の提供でした。体験を通じて、アクセシブルコードの普及には、製品を提供するメーカーの方々と、実際にそれを使う消費者・利用者の両方の視点から取り組んでいくことが大切だと改めて感じました。

展示会で寄せられた多くの声やアイデアを、これからメーカーの皆さまに届け、次の企画や開発につなげていきます。アクセシブルコードは、誰かのための「特別な仕組み」ではなく、社会の中で「あたりまえに存在する」情報のかたちを目指しています。
これからも現場の声に耳を傾け、工夫と改善を重ねながら、皆さんとともにこの取り組みを育てていきたいと思います。

最後に、ご協力・ご来場くださった皆さま、本当にありがとうございました!