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QRコードを読めるアプリの数を調べてみた

アクセシブルコード
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Kenji Takaoka

QRコードはご存知日本(デンソーウェーブ)で発明された2次元バーコードです。国内では、ガラケーの時から使われて、iPhoneが広がってからはリーダーがデフォルトでインストールされていないので、やや下火になったかに思えましたが、ほぼ普通に定着してきた感があります。

このQRコード、実は世界でO2O(Offline to Online)のデファクトスタンダードになっているのは、あまり知られていないかも知れません。何故かというと、ちゃんとした調査データがあまり出ていないからです。

試しに、英語でQRコード関係の色々なデータを調べてみましたが、ほとんどは2012年前後の少し古いもので、スマートフォンが急激に普及をはじめた後にこそ注目される数字なのに、あまり情報が流通していません。

自分なりに何故かと考えてみましたが、行き当たった答えは、QRコードがオープン化された特許でその利用を推進する為の利益団体が無い事だと気付きました。(つまり調査会社に誰も調査を依頼しない。)

一方、利益団体が存在するNFCやビーコンについてはたくさんの情報があるものの、QRコードなど他のメディアと比較した利用率データ等はほとんど公表されていません。

少し穿った見方をすると、このデータが出てこないのは、QRコードとの比較で、圧倒的に普及率に差が出ているので、敢えて調査したり、データ公表したりしていないのではないかという事です。また、A社は、自社の規格(アイビーコン)をO2Oのデファクトスタンダードにしたいので、出荷時に汎用的なQRコードリーダーを搭載していないという事も考えられます。(PassbookにはQRコードリーダーが含まれていますが、Passbookで発行されたQRコードしかあえて読めないような仕様になっています。)

そこで、世界中で一般的なQRコードが読める主なリーダーアプリだけでどれぐらい普及しているか、公開されているデータから調べてみたのが下記の表です。(調査日: 2015年9月)

アプリケーション名 / ダウンロード数 (範囲)
WeChat / 100,000,000 – 500,000,000
QR Code Reader / 50,000,000 – 100,000,000
LINE / 100,000,000 – 500,000,000
QR Droid Code Scanner / 10,000,000 – 50,000,000
ZXing QRコードスキャナー / 100,000,000 – 500,000,000
ShopSavvy Barcode & QR Scanner / 10,000,000 – 50,000,000
AT&T Code Scanner / 10,000,000 – 50,000,000
pickwick Barcode & QR Scanner / 5,000,000 – 10,000,000
i-nigma QR & Barcode Scanner / 1,000,000 – 5,000,000
Google Goggles / 10,000,000 – 50,000,000

合計ダウンロード数 360,000,000 – 1,815,000,000

※ アプリのダウンロード数は公表されているAndroid分のみ (iPhoneのAppsはダウンロード数が非公開の為、除外)
※ アプリ内にQRコードリーダーが入っている場合でも、Facebookのように、特定のQRコードしか読めないリーダーは除外しました。

上記は、数値が公開されている主要アプリのデータを集めただけですが、世界でQRコードが読めるアプリのダウンロード数は最低で3億、最高では18億以上の数になりました。

現在、世界中でネット接続しているスマートフォンの台数は約27億台という統計がありますので、その内がかなりの割合がQRコードのリーダーを搭載しているという事になりますね。(日本ではiPhoneのシェアが高いものの、iOS搭載のスマートフォンの世界シェアは20%以下。)

もし、自分達が開発したアプリで、3億のダウンロード数を取ろうとすると一体どれだけの広告宣伝費を投じないといけないのか気が遠くなりそうです。これほど世界で普及しているQRコードは、あまり国内では意識されていないかも知れませんが、日本が誇る久々の世界標準でもありますね。