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開封(开封)へ行ってきました

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Kenji Takaoka

開封の包公湖

金曜日の午後と土日を使って中国内陸部にある開封(中国語: 开封、英語: Kaifeng)に行ってきました。多くの日本人にはあまり知られていない場所と思いますが、中国では最も歴史が古い都市(古都)のひとつで、北宋の首都であり、当時は世界最大の都市でした。また、古くからユダヤ人のコミュニティーが開封に存在していたという逸話も個人的な興味を引きました。

開封に最も近い空港は、河南省の省都でもある鄭州市の鄭州新鄭国際機場。月曜日と金曜日には大阪から中国南方航空の直行便が運行しているので、それを利用するとフライト時間はわずかに3時間15分です。

開封は、三国志でもよく言われる「中原」、つまり中国大陸内の広大な平原の中に位置していて、飛行機で上空から見ると、本当に山の無い広大な平地が見渡す限り続いていました。

空から中原を見る

飛行機から見下ろしても延々と平地が続いている

空港に降り立ち、そこからバスで1時間ほど移動すると開封の市街地、の筈でした。(というか、空港バスは街の中心部に到着するものと勝手に思い込んでました。)こんなに歴史ある街なのに、あまり観光に積極的でないのか、空港バスの到着地点には観光案内所ひとつもありません。

空港バス停の近く

空港バスを降りた辺り。この建物はマンションかな?

仕方が無いのでそのままタクシーを拾いホテルまで移動しようとしましたが、乗った後にホテルの予約スリップを見せてもどうやら場所がわからない様子。不覚にも、僕が英語でしか情報をプリントアウトしなかったからで、中国では、外国人観光客が多い場所以外、ローマ字がスラスラ読める人はさほど多くないという事を忘れていました。

ひとまず、”不知道(知らない)”という単語だけを聞き取れてタクシーを降りた僕が辺りをうろうろしていると、それを見かねた近くのバイクの青年が声をかけてくれました。この青年も英語はほとんどわからない様子でしたが、しばらくお互いの噛み合わない言葉で話した後、事情だけを汲み取ってもらったのか、バイクの後ろに乗れと言うではありませんか。

僕も人並みに警戒心はあるのですが、色々な国の街角で出会った人も、目つきと表情で悪意の有無は見分けられる自信があったので、今回はひとまず乗せてもらうことにしました。多分、ホテルの場所は分かってなかったハズでどうするつもりかと思いきや、彼は市の中心部にバイクを走らせ、なんとなく英語を話せそうな通りがかりの人に話しかけ、僕の英語の予約スリップを見せてホテルの場所を確認してくれたのでした。

その後はさすがにデジタル世代、ホテルの場所を(googleマップのナビによく似た、多分、百度の)ナビに打ち込み、バイクで15分ぐらい離れた宿泊ホテルまで連れて行ってくれたのでした。僕は当然お礼をしようとしましたが、予想通りお金は受け取ってくれず、結局、名刺だけを渡して彼とはお別れしました。

宿泊場所は Pullman Kaifeng Jianye(开封建业铂尔曼酒店)。部屋は無料でアップグレードしてくれたせいもあると思いますが、1万円ちょいとは思えないとても高級感のあるホテルでした。

チェックインの後、せっかくなので夜の市街地を見に行こうとホテルでタクシーを呼んでもらいました。ここは予想以上に物価が安く、タクシーの初乗りは5元。しかも料金の上がり方も小数点単位という緩やかさなので、ガソリン原価を考えると、少し申し訳なく思うぐらいでした。その上、完全メーター料金で、帰りに街中で捕まえたタクシーもぼったくろうとする素ぶりさえありません。

街中は、金曜日の夜と言うこともあってか賑やかでした。景観地区の広場などでは出し物が行われていて、流れている空気にとても平和な雰囲気が漂っていました。すれ違う街の人の表情も穏やかで、上海などの都市部で感じる貧富の格差もあまり感じませんでした。

開封の夜

夜の龍亭景区

翌日はホテルで専用のレンタサイクルを借りて市内外を散策。

レンタル自転車

誰かから聞いたのですが、最近、中国では、自転車の盗難が激減したそうです。それはシェア自転車の普及で「自転車は所有するものでは無く借りるもの」という概念が定着し、盗難しても売れなくなった事が原因だそうです。(また、あちこちにシェア自転車があるので、「そこまでちょっと拝借」型の盗難も無くなったのでしょう。)

河南大学の構内

河南大学の校内。黄色いのはシェア自転車。

自転車で市内を走ると、やはり交通ルールなんかはほぼ無視されているものの、それぞれが相手との呼吸を測りながら運転しているので、特に危険は感じません。ある意味、近未来の自動運転社会を垣間見たような気分でした。(笑)

そもそもみんながルールを無視するという前提があるのであれば、(社会の効率性は失われるものの)事故はあまり起こらないのかも知れません。逆に誰もがルールを守ると思い込んで、それを前提に行動するから、たまに守らない人が出てきた時に事故が起こるのかも。

開封市内

市内は歴史と現代が混然と入り交じったところで、ところどころに城塞の後などが残っているかと思えば、ショッピングセンターの前ではラップ音楽がガンガンにかけて盛り上がる若者の姿も見られました。

開封市街地の門

開封旧市街を囲う城壁

旧市街を囲う城壁は高さが大体7mぐらいか。平原の街で侵入者からの守りを固めるには不可欠だったハズ。攻める側からしても馬でも直接はよじ登れないからまずは弓矢などの飛び道具で相手の体制をくずしてから…など想像が拡がる。

橋の下の彫刻

清明上河園へ続く水路の途中の橋の下には立派な彫刻が施されている

清明上河園

これぞ中国の宮廷という一枚

ひとしきり城壁の内側を散策した後、当初からの計画であった黄河(Huang He)を見るために、城塞都市の外へ出て、自転車をとにかく北の方向へ走らせました。片道は約1時間だろうとふんでいました。

途中、市街地から離れた場所を通過すると、やはり市中心部と農村の格差がよく分かったような気がします。黄河への行き帰りも、主要な幹線道路以外では舗装されている道は半分半分くらいで、雨の直後でもないのにところどころはぬかるんでいました。

行きは予定より少し早く(約50分ぐらい)で到着し、黄河を見た感想は、、、残念ながらあまり壮大な感じは受けませんでした。

黄河のほとり

色で言えばYellowというよりもBrownという感じ

ただ、よく考えると、中国の内陸地域の人が海に出ようとすると膨大な距離を移動する必要があるし(水質的にはとても泳ぐ気にはなれないものの)この地域の人にとっては海代わりなのかなと妙に納得しました。

黄河の馬

近隣の場所から観光に来ているグループもちらほら。砂浜の河岸にはモーターボートや乗馬用の馬が(そして近くにはラクダも)準備されていた。

黄河からの帰りは、来た道とは別の道を通ってみようと(中国ではGoogleマップがほとんど働かないので)iPhone付属のコンパス機能だけを頼りに、方角を確認しながら開封市内へ戻りました。一応方角通りに市街まで辿り着いたものの、開封市内は予想以上に広く、ホテル周辺の見覚えある場所までなかなか到達しません。仕方なく近所のお店でホテルのカードを見せながら場所を尋ねると、ここでも(英語はほとんど通じないものの)とても親切にホテルに戻る道を紙に書いて教えてくれたのでした。

開封はお勧めの街です。