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急増する日台の姉妹都市&鉄道提携

多文化情報
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F. Izumi

こんにちは、泉です。

親日家が多いと知られている台湾。日本と台湾のつながりは、歴史、経済、文化において大変深く、最近では個人レベルでの往来もますます盛んになり、交流の幅も拡大しています。

昨年(2015年)台湾から約367万人が来日し、一昨年より84万人も増加しました。日本からも約163万人が訪台し、初めて双方で500万人を超えました。人的往来のみならず、近年では自治体同士による姉妹都市提携や、鉄道関係提携も急増しています。その背景にはどういったものがあるのでしょうか。

 

姉妹都市 台湾と姉妹提携する日本の自治体

1979年10月に青森県と雲林県の提携以来、今年現在までの成田市と桃園市の提携まで、38年間で56の自治体が姉妹都市や友好交流協定を台湾と結んでいます。2011年までの33年間で18件しかなかったものが、2012年以降(震災以降)5年間で38件が提携にいたりました。これは、全体の68%にもおよぶ提携数になり、姉妹都市化を望む声が増加していることがうかがい知れます。

鉄道提携 日台姉妹鉄道

鉄道提携に至っては、現在に至るまで19件のうち、大井川鐵道と阿里山森林鉄道以外の18件はすべて2013年以降に結ばれたものです。

前述の姉妹都市化数、鉄道連携数からもわかるように、日台間の交流が密になった背景の一つには、2011年の東日本大震災が大きく影響しているのでないかと私は考えています。
観光庁の統計によると、2015年に東北地方を訪れた台湾人旅行者数は、17万6480人。震災前に比べると3割増えています。


☆プチ情報
東日本大震災に対して、台湾からは200億円を超える巨額な義援金と560トンもの支援物資が寄せられました。
これに対して、震災後感謝の気持ちを伝えたいと日本からの訪台も相次ぎました。


東北地方と台湾

東北6県と新潟県の知事や副知事、仙台市長ら合同による台湾でのトップセールスが先月8月下旬に行われました。訪台の大きな目的は二つ。一つは、台湾の観光・旅行団体や航空会社のトップ並びに台湾政府関係者との交流・懇談を通じて、東北地方への誘客PR活動をおこなうものです。そして、二つ目は「東日本大震災の支援に対する感謝を表す」ことを目的として実施されました。

また、今年6 月には仙台と台北とを結ぶ路線に、台湾のLCC「タイガーエア台湾」が就航し、週4回往復の定期便運航が始まりました。因みに海外のLCCによる東北への定期便は初めての就航となりました。


☆タイガーエア台湾・仙台~台北線時刻表
IT254 台北14:15→仙台18:45 運航日:火水金土
IT255 仙台19:45→台北22:50 運航日:火水金土


タイガーエア

 

フライト所要時間は、往路が3時間50分、復路は3時間30分が目安です。
仙台を19時45分発なので、仙台市内の方ならば、仕事を早く終わらせてから乗ることも可能でしょう。台北発は午後便で使いやすく、台湾を十分に満喫することができます。

 

運賃ですが、諸税や燃油サーチャージ込みで片道7,200円からだそうですが、実際に検索してみると、8,600円が普通に購入できる最低ラインのようです。実勢運賃は片道10,000~15,000円程度になるとみられます。

国内旅行の仙台から沖縄へは、ANAの旅割75で片道20,000円程度が最低運賃ですから、東北地方から沖縄に行くなら、少し足をのばして台湾に行ったほうが安いかもしれませんね!


☆プチ情報
2016年10月6日(木)からはトランスアジア航空が月・木の週2便体制で仙台から台北間の運航がスタート予定です。


前述の台湾からの訪日数からもわかるように、台湾人にとって訪日旅行は身近なものになりつつあります。
しかし、都市部への訪日客数と比較すると、地方への訪日客数はまだまだ満足できるものではなく、今後訪日リピーター客をいかに東北地方へ誘客していくのかが、課題となっています。

課題の一つを解決する方策として、仙台-台北間のLCC就航は大きな一歩であることは間違いありませんが、並行して、東北の素晴らしさを海外に継続的にプロモーションしていくことも外せません。

東北地方には、まだまだ知られていない様々な観光資源があります。
訪日外国人の主な訪日目的は、有名観光地への訪問に加えて「食」や「温泉」があげられます。

国土交通省の統計では東北地方への訪問時期は「冬(1~3月)」が最も多く、「雪景色を見ながら温泉に入り、美味しい郷土料理とお酒に舌鼓をうつ」ことがもとめられているのかもしれません。

また、東北地方のキーワード「雪」。

この地元の方にとっては大変な「雪」を大きな観光資源と捉え、東北地方の人々の暮らしや文化とともにアピールすることで、都市部では味わうことの出来ない一味違った旅を満喫してもらうことも可能ではないでしょうか。

「雪」というコンテンツは、台湾人のみならず東南アジアの人々にとって、大きな魅力の1つです。

2016年3月には北海道新幹線も開業したことにより、新幹線や在来線、飛行機、船などを組み合わせた新たな観光周遊モデルも期待できそうです。点と点を結ぶインフラの整備による効果は絶大なので、そこを上手くアピールすることで、新たなリピーター獲得へつなげることが大切なのではないでしょうか。

いずれにしても、東日本大震災という未曾有の災害時に受けた台湾からの温かい支援。これをきっかけとした台湾への信頼感が東北地方と台湾を大きく結び付けていることは間違いないでしょう。

日台友好